【公式】めざせ!ST(言語聴覚士)

言語聴覚士の就職状況

言語聴覚士の就職状況

ST(言語聴覚士)の就職事情についてのデータを大公開!
現役STの先輩からのメッセージも。

言語聴覚士(ST)の就職事情を徹底調査!

言語聴覚士の職能団体である日本言語聴覚士協会の調査(2022年4月)では、医療機関で仕事をしている会員が最も多く、具体的には総合病院や大学病院、リハビリテーション専門病院やリハビリテーションセンターといったところで働く言語聴覚士が多いようです。次いで多いのが老人保健施設や特別養護老人ホームです。その他として福祉施設、学校教育、養成校など言語聴覚士の就職先は多岐に渡ります。現在約2万人の言語聴覚士が仕事に従事していますが、治療や支援を必要としている患者さんの数に対してまだまだ不足しているのが現状です。
また、高齢化社会に伴い、国は政策の一つとして医療保険から介護保険への円滑な移行をすすめており、在宅での生活を目指したリハビリテーションの必要性が高まっています。今後、通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションといった介護保険領域でも言語聴覚士が活躍する場は拡大していくと思われます。言語聴覚士は女性が多い職種ですが、産前・産後休暇や育児休暇を活用したり、また託児所を併設している施設も多いことから、出産後も仕事を続けることが可能であり、復職率が高いのもこの職種の特徴です。

勤務先
男女比、年齢構成
  • 医療機関

    病院や診療所などの医療機関では、治療の一環としてリハビリテーションが行われます。
    言語聴覚士は、医師や看護師などと協力しながら、患者さんの言語、聴覚、食べたり飲みこんだりする機能の回復をサポートします。ケガや病気をしてすぎの急性期、状態が少し落ち着いた回復期と、時期によって言語聴覚士がサポートする内容も少しずつかわってきます。

  • 老健(介護老人保健施設)
    特養(特別養護老人ホーム)

    介護が必要な高齢者が、病気の医療後、自宅で生活できるよいうにするために、看護や介護などのサービスを提供する施設です。言語聴覚士は、利用者のコミュニケーション能力や食べたり飲みこんだりする機能をサポートします。

  • 福祉(老人福祉施設)

    高齢者の多いデイサービスセンターなどで働く言語聴覚士は、管理栄養士などと連携して、食べたり飲みこんだりする希望の訓練や指導をします。言語に関する能力や、理解力、判断力の維持、向上のための支援も行います。

  • 教育機関

    言語聴覚士の資格とあわせて教員免許も持つ人が、小学校や中学校の特別支援学級の教員として、コミュニケーションや聞こえに障がいをかかえる子どもたちのサポートをしています。「ことばの教室」や「きこえの教室」でも言語聴覚士が活躍しています。

先輩STからのメッセージ

Message

患者さんの笑顔をみると、
『明日も頑張ろう!』
と私が元気にさせられます。

ST歴3年坂井 李菜さん

質問1 STになったきっかけは?

高校3年生の夏、今後どのような職業に就きたいのか、私は何がやりたいのかについて悩んでいたとき、母親が「言語聴覚士」を紹介した本を見せてくれました。この本により、私は言語聴覚士の存在を知りました。私は、人と関わる仕事に興味があったため、言語聴覚士を目指してみようと思い、そのような気持ちで専門知識の学べる大学へ進学しました。

質問2 仕事をしていてやりがいを感じる瞬間

日々、小さな喜び、感動に立ち会うことができること。患者さんの笑顔をみると、『明日も頑張ろう!』と私が元気にさせられます。

質問3 これまでで1番印象に残っている患者さんとの出来事

病気を発症してから、まったく言葉が出なかった患者さんが、「お・は・よう」とゆっくり言えたときに、涙目になって喜んでくれました。初めて声が出た瞬間に一緒に立ち会うことができ、私もとても嬉しかったです。

質問4 養成校での勉強内容・実習内容について

一学年25名程度と少なかったため、講義内容も集中でき、教授への質問もしやすい環境でした。検査道具や演習室も多くあり、設備も整っていました。専門科目では5名程度のグループで行い、学生同士で話し合いながら検査や訓練をたて、実施する演習を行いました。4年間同じ仲間と過ごすため、卒業後も相談したり励まし合ったりと絆の深い仲間ができました。実習では、実際の患者さんと接する機会があり、実際の仕事内容、STとしての楽しさ、やりがいを学ぶことができました。

質問5 国家試験に合格する秘訣

私は、友人と学校で一緒に勉強しました。時間割を決めて学校の授業のように過去問を解いたり、調べたりしました。休憩時間には、友人とゲーム感覚で問題を出し合い、自分1人では足りない知識を楽しく補いました。また友人と一緒に行うことで、競い合い、励まし合い、最後には一緒に合格を喜ぶことができました。

質問6 学生へのメッセージ

『誰にも言いたいことが伝わらなかったら…』『おいしいご飯が食べられなかったら…』と考えてみてください。これからの生活に不安や淋しい気持ちが多くなってしまうと思います。STはそのような障害を抱えた患者さんに対してリハビリをしていく仕事です。私はこのような患者さんに少しでも笑顔や”楽しい”"嬉しい”という気持ちが増えてほしいと思っています。そして患者さんと関わる中で、私も笑顔にさせてもらっています。

言語聴覚士は
「患者さんが再び自分らしい生活が
できるように支援する仕事」
です。

ST歴8年原 多加子さん

質問1 STになったきっかけは?

障がいにより言葉を話せない方でも、こちらの話が理解できることを知ったとき、単純に頭の中の不思議さに興味をもちました。また、言語聴覚士は「患者さんが再び自分らしい生活ができるよう支援する仕事」であることを知ったことがきっかけでした。

質問2 仕事をしていてやりがいを感じる瞬間

患者さんが元気になっていく変化を見るとき。例えば、言葉がスムーズに出てこない患者さんが少しずつでも言える言葉が増え、「伝えられた」と喜ぶ顔を見たときは嬉しくなります。

質問3 これまでで1番印象に残っている患者さんとの出来事

障害受容の過程で精神的な落ち込みにより食べられなくなった患者さんが、日常生活動作の変化をきっかけに再び食べられるようになりました。「出来ることを増やすこと」が自信へとつながり、生きる力になることを感じました。

質問4 養成校での勉強内容・実習内容について

授業では、基礎となる医学的な分野から評価・訓練法など幅広く学びます。実習では、実際に患者さんに評価(検査)・訓練を行う中で、授業で得た知識を自分のものに出来るよう理解を深めます。

質問5 国家試験に合格する秘訣

実習や就職活動を早めに終わらせ、過去の試験問題を繰り返し解いたりクラスメイトとの情報交換で傾向をつかみます。後は、本番でベストを尽くせるよう体調を整えましょう。

質問6 学生へのメッセージ

多くのことに興味・関心を持ち、可能ならば挑戦・体験してください。自身の世界が広がり、様々なことに気づける細やかな心の人になれると思います。

結婚・出産などで
生活スタイルが変化しても
「一生を通じて働くことのできる職業」
です。

ST歴24年河西 祐子さん

質問1 STになったきっかけは?

同居していた祖父が、脳卒中で体と言葉が不自由になり長い療養生活を送りました。大学の頃は人と関わる仕事がしたいと漠然と思っていましたが、言葉が出ずに辛い表 情をしていた祖父の姿が思い出され、この道を選びました。

質問2 仕事をしていてやりがいを感じる瞬間

ことばを失ってしまった患者さんと意思疎通ができ心が通い合えた時、突然の発病で落ち込んでいる患者さんがリハビリの過程で表情が明るくなり、これからの生活を前向きに頑張ろうとされる姿を間近で見られた時、やりがいを感じます。忙しい毎日ですが、同じ志を持つ仲間とコミュニケーションをとりながら、楽しく学び働けるのも魅力です。

質問3 これまでで1番印象に残っている患者さんとの出来事

臨床1年目に出会った若い失語症の患者さんです。右片麻痺がありことばの障害も重い方でしたが、自分で車を運転し、日本中あちこちに旅行されていました。20数年以上経った現在でも、年に1回会いに来て下さいます。障害を抱えても自分らしく生きることの素晴らしさを教えて下さった方です。

質問4 養成校での勉強内容・実習内容について

私が勤め始めた頃は国家資格がありませんでしたので、指定講習会を受講後、第1回目の国家資格を取得し、現場で臨床をしながら学んできました。

質問5 国家試験に合格する秘訣

自分の得意・不得意科目を理解し、早目に国家試験までのスケジュールをたてて、自分のペースで取り組んでいくことが合格への近道です。学校の友達と励まし合いながら、一緒に学んでいくのが効果的だと思います。

質問6 学生へのメッセージ

二人の子供の出産を機に3年間休職しましたが、その後復帰し、嘱託を経て正職員となり現在に至っています。言語聴覚士は国家資格であり、生活スタイルの変化に応じて、一時休職する、勤務形態を変えて勤める等の選択が可能で、一生を通じて働くことのできる職業であると思います。

言語聴覚士に対するニーズの高まり

高齢者人口の増加によって、言語聴覚士のニーズはさらに高まっていくと考えられます。
老化による機能の衰えで引き起こされる老人性難聴や摂食・嚥下(えんげ)障害などは、程度の差こそあれ、多くの高齢者に見られる症状です。また、血管がもろくなることによって脳血管障害を発症し、記憶障害や認知症などのコミュニケ―ション障害が現れる高齢者も増えています。このように、言語聴覚士が活躍するフィールドは拡大しつつあり、さらに多くの言語聴覚士が誕生することが望まれています。

ただし、言語聴覚士の数さえ増えれば良い、というものではありません。
言語聴覚士が提供するサービスの質の向上も重要です。たとえば、言語聴覚療法の評価・訓練と関わりの深い脳科学、生命科学、認知科学などの分野では、日々新しい研究成果が発表されています。言語聴覚士は、これらの最新情報を常に仕入れ、理解し、臨床へ柔軟に取り入れていくことが求められます。
また、こうした最新のトピックスに関心を持ち続け、常に最良のアプローチを心がけることが、一人ひとりの言語聴覚士に求められています。