【公式】めざせ!ST(言語聴覚士)

言語聴覚士インタビュー

言語聴覚士インタビュー

「笑顔」と「傾聴」を大切に、食を通じて地域と医療をつなぐカフェの運営を行う

蛭牟田 誠 医療法人社団登豊会 近石病院
保健・福祉 成人 小児 介護予防
蛭牟田 誠

理学療法士の専門学校パンフレットをきっかけに、言語聴覚士を志すことに

母が看護師であったため、私は「医療関係の仕事に就きたい」となんとなく思っていました。そして、母に紹介された仕事が理学療法士でした。ただ当時、理学療法士は非常に人気のある仕事で学校に入学する難易度が高かったのです。別の選択肢を探すため専門学校のパンフレットを見ていたところ、リハビリテーションの1つである言語聴覚士という職業を知りました。

言語聴覚士の仕事に興味を持ち、実際に病院へ見学に行ってみると、言語聴覚士はさまざまな角度から患者様にアプローチをしていることを知りました。そのような言語聴覚士に魅力を感じ、言語聴覚士の仕事を志したのです。今振り返ってみると、言語聴覚士の仕事を選んで本当に良かったと思っています。

地域と医療をつなぐカフェ「カムカムスワロー」で、利用者の方に専門情報を届ける役割を担う

私は現在、岐阜市にある医療法人社団登豊会 近石病院が運営するカフェ「カムカムスワロー」のマネージャーをしております。「カムカムスワロー」は、「『食べる』を通じて、医療と地域をつなぐ場」として、認定栄養ケア・ステーションも併設しています。

私の主な仕事内容は、介護予防教室の企画・運営や飲み込みの相談、出張講座、新商品の開発や研究などです。加えて、インスタグラムの運用、メディア対応などの広報業務や経営企画といった幅広い仕事を行っています。カフェでは、「患者様」と関わる機会は少なく、対象は患者様ではなく「利用者様」もしくは「お客様」となります。

その中で、私に求められている役割は「必要な方に必要な情報を届けること」です。私たち専門職にとっては常識と考えられる情報でも、一般の方にとっては常識ではありません。その1つ1つが、利用者様、お客様にとって重宝される情報です。直接的な介入というよりは、間接的な介入として情報を提供し、それを活かしてもらうためのきっかけづくりを担っています。

「笑顔」と「傾聴」を大切に、利用者の方の話を聞くことに徹する

「カムカムスワロー」は、代表を務める歯科医師が診療を行う中で、「嚥下障害のある方が外食できる場所が少ない」という問題意識を持ったことをきっかけに設立されました。そのような背景に私も共感し、また私自身の「言語聴覚士の可能性を広げる」というビジョンと合致していたため、言語聴覚士としてカフェ運営に携わっています。

私が言語聴覚士として接するのは、主にフレイル、オーラルフレイルや嚥下障害のある方、そのような方を介護するご家族の方です。医療的ケア児も含めると、子どもから高齢者まで幅広い方と接しています。

お客様と接するときに大切にしていることは、「笑顔」と「傾聴」です。カフェには一般の方もたくさんいらっしゃいますが、何かしら悩みを持って来られる方も多いです。そのため、お客様と接するときは笑顔で対応して、まずはお客様の話を聞くことに徹しています。接客においては、病院で行ってきた患者様への対応と似ているところも多いです。

管理栄養士が常駐して健康や地域文化に配慮したメニューを提供

前述のように「カムカムスワロー」は「『食べる』を通じて、医療と地域をつなぐ場」をコンセプトにしています。カムカムスワローを運営する目的は、食や栄養を通じて地域を活性化することです。

岐阜では、モーニングの文化が根付いています。私たちも「モーニングを食べながら地域の方と交流することが、高齢者の健康増進につながるのではないか」と考えて、モーニングのメニューを充実させています。ランチに関しては、管理栄養士が監修する健康に配慮したメニューを提供しています。管理栄養士が常駐しているので、それぞれの要望に応じた嚥下調整食を提供させていただくことが可能です。

カフェにはさまざまな方が来られますが、そのほとんどが在宅で生活しておられる方です。そのため、言語聴覚士としてより生活に密着したサポートを行うことが必要とされ、その方にとって何が最適かをより深く考えるようになりました。同時に管理者として、チームビルディングや経営という視点からも学びを得るようになりました。

正しい方向を向いた地道な行動の積み重ねで理想のST像に近づいてほしい

学生時代、私は言語聴覚士のキャリアに対して不安を感じていました。その不安は実際に言語聴覚士として就職してからも晴れなかったのですが、20代は行動量を増やして自分からさまざまなことにチャレンジしました。30代になった今は、より専門性と希少性を伸ばすために行動しています。現在も多少不安は残っていますが、一方で「言語聴覚士の可能性は無限大である」とも感じています。

どの領域でも言えることですが、未来を明るくするのは自分次第です。これから言語聴覚士として活躍したいと思っていらっしゃる方は、理想とする言語聴覚士を見つけながら、正しい方向を向いて地道に行動してほしいと思います。そうすれば、きっと自分の理想とする言語聴覚士像に近づけると思います。

今後は海外での活躍を目標に、コミュニケーション能力を鍛えたい

私は「言語聴覚士の可能性を広げる」というビジョンを掲げて、これまで行動してきました。その可能性を広げるための1つの手段が、カフェの仕事です。私たち言語聴覚士は、病院や施設での仕事だけでなく、まだまだたくさんの可能性があると考えています。今後は、もっと嚥下障害のある方が生きやすい社会にしていきたいです。

同時に、「40歳までに言語聴覚士として、海外で活躍する」という目標も掲げています。ことばや飲み込みに困っている方々は、日本国内だけでなく海外にもたくさんいらっしゃいます。1人でも多く、悩んでいる方のお力になれるよう、海外でも活躍したいと考えています。そのため、今後は言語聴覚士としてのスキルはもちろんのこと、語学学習、コミュニケーション能力など海外で活躍するためのスキルも鍛えていきたいです。

ある一日のスケジュール

Schedule
  • 08:30
    1日のスケジュール確認
  • 08:45~
    朝礼
  • 09:00~
    広報業務

    チラシ作成、インスタグラム・ホームページ等の更新、プレスリリース文書の作成

  • 11:00~
    飲み込みの相談
  • 12:30~
    休憩
  • 13:30~
    介護予防教室準備・実施

    月1回介護予防教室を開催。準備から運営まで担当

  • 15:00~
    イベントの企画・運営、事務処理

    当院のイベント企画・運営と外部のイベントの調整
    シフト管理や請求業務の事務処理

  • 17:30
    業務終了