めざせ!ST(言語聴覚士)話す、聞く、食べるのスペシャリスト

言語聴覚士インタビュー

言語聴覚士インタビュー

患者さんの可能性を
少しでも広げるために

上江 愛 鹿児島市立病院 耳鼻咽喉科
上江 愛

医師はもちろん療育機関とも連携して患者さんを支援する

現在鹿児島市立病院にて、耳鼻咽喉科の言語聴覚士として勤務しています。耳鼻咽喉科の言語聴覚士としては、聴覚障害のある方、主に補聴器あるいは人工内耳を使用されている方に対して、補聴器、人工内耳の調整をはじめとした支援をしています。

聴覚障害のある方、特に成人の方の場合、補聴器を装着してその音に慣れていっていただくことが一番のリハビリと考えています。疾患によっては聴力が低下していくケースがあるため、その方の聴力に適した補聴器を提案したり、補聴器では対応しきれないほど聴力が低下してしまった方には人工内耳を提案したりなど、医師と相談しながら支援を行っています。

また小児の患者さんの場合、新生児聴覚スクリーニングを実施して、同病院もしくは大学で精密検査を行ないます。その結果、ある程度難聴が確定した時点で聾学校をはじめとした療育機関と連携を取ります。

小児の場合、聴覚障害の程度によっては言語発達の面で大きく差が出てきてしまいます。そのような患者さんに対しての訓練や支援も行ないます。
ただ、言語聴覚士が中心となって指導をするのではなく、保護者の方に指導法を理解していただいて、ご家庭で実践していただくことを推奨しています。
患者さん、ご家族の方のなかには頻繁に病院に行ける方もいれば、行けない方もいらっしゃいますので。

座学で培った知識と現場で求められる知識の乖離に頭を悩ませた

学校では座学がほとんどで、3年生の後期、4年生の前期で2回実習を行ないました。
3年生時の実習では主に回復期の方を中心に4週間、4年生時の実習では回復期の主に失語症の方を中心に診させてもらいました。

実習を経験してみて感じたのは、座学で覚えた知識と実践で使う知識に乖離があることでした。知識ひとつひとつがバラバラで、なかなか患者さんにその知識を活かしきれないという葛藤を感じました。

学校で習うことは典型例が多いのに対して、現場には応用的な知識が求められる合併症を抱える患者さんが多くいます。そういった方に対しての接し方、アプローチにも頭を悩ませました。

実習でも臨床現場でも患者さんとの距離が縮まる瞬間が喜び

どの授業でも、自分で掘り下げて新しい知識に触れる瞬間は楽しかったです。それは患者さんに対しても同じで、バラバラだった知識が、合併症を抱える患者さんをケアしているうちに自然と結びついてきて、「どういった病態が絡んでいるのか」「どういったと特徴があるのか」という点が自ずと見えてきたときは、勉強した甲斐があったなぁと感じました。

また、実習でも臨床現場でも、患者さんがポロっと心情を吐露してくれたとき、距離が縮まったことを実感できて、嬉しかったです。

言語聴覚士を目指すきっかけは両親の存在

私が言語聴覚士を知り、目指すようになったのは、両親の存在があったからです。
私の両親は後天的に聴覚障害があり、補聴器を着けて生活していました。
私が進路で悩んでいるときに、母が言語聴覚士について教えてくれたのが、この道に進もうとおもった最初のきっかけです。

大学院に進んで聴覚についての見識を掘り下げたい

学校を選んだ理由は、4年制課程のため、大学院への編入が可能という魅力に惹かれたからです。実際、いつか大学院に進んでより知識を深めていきたいと考えています。
いまの職場を選んだ理由も、同病院が宮崎大学とつながりがあるというところが大きいです。宮崎大学には大学院があり、私の現在の上司が同大学の大学院に進んでいて、私の母校の先輩ということもあり、声をかけてもらいました。

聴覚においては、まだ明らかになっていないところがたくさんありますし、言語聴覚士という職業自体が比較的新しい職業ですので、評価法や補聴器・人工内耳の改善・改良の余地はまだまだあると思います。
そのためには、大学院に進んで少しでも知識を身につけることが大切だと考えています。

患者さんの前進をサポートする言語聴覚士

言語聴覚士を目指そうと思ったときからずっと変わらないのが、両親への思いです。
両親の聴覚障害は後天的なため、言語聴覚士からの支援がもっと受けられていれば、その後の可能性はもっと広がったんじゃないかと思っています。だからこそ、私は言語聴覚士として、聴覚障害のある患者さんの将来の可能性をもっと広げていきたいと考えています。

 

小児であれば早期の段階から言語聴覚士、耳鼻科医が介入。適切に聴覚障害を判断したうえで、適切な聴覚保証を提供していきたいです。もちろん、小児に限らず、加齢性の難聴であっても、ご本人が自覚しないまま進行していくこともあるため、早めの介入を心がけていこうと思っています。

このような早めの介入は、患者さんが一歩でも二歩でも前進するうえで欠かせないサポートだと考えています。聴力論、実際の聴力面、さらには気持ちの面においても、患者さんの前進を少しでもサポートできる言語聴覚士になりたいです。

ある一日のスケジュール

Schedule
  • 07:00
    出勤
  • 07:30~
    研究カンファ
  • 08:30~
    耳科外来
  • 10:00~
    乳幼児難聴支援外来
  • 11:00~
    成人難聴支援外来
  • 14:00~
    休憩
  • 15:00~
    小児難聴支援外来
  • 17:30~
    難聴支援カンファ
  • 18:00~
    耳鼻科外来カンファ
  • 20:00
    退勤