めざせ!ST(言語聴覚士)話す、聞く、食べるのスペシャリスト

言語聴覚士インタビュー

言語聴覚士インタビュー

患者さんの可能性を
少しでも広げるために

上江 愛 鹿児島市立病院 耳鼻咽喉科
医療 学生 成人 小児 病院リハ
上江 愛

当科におけるSTとしての位置づけ

現在宮崎大学医学部附属病院難聴支援センター所属の言語聴覚士として鹿児島市立病院耳鼻咽喉科に配属されております。当科は、本県唯一の人工内耳手術を行っている施設であるとともに新生児聴覚スクリーニング後の精密機関としても位置しており難聴が疑われた児のほぼ全てが受診されます。当科STの役割は、聴覚障害児・者に対して聴覚医学的な方針を立てることにあります。聴覚医学的な方針とは他覚的及び自覚的な評価から聴覚障害の種類や程度を判断し、補聴器及び人工内耳を代表とする人工聴覚器の必要性及び種類の選択を適切に行うことです。そして、その聴覚専門の医師が診る耳科学的な側面を含めその後の方針を決めていきます。つまり、難聴を診る上では、聴覚帷幄的側面と耳科学的側面の両者を合わせて考える必要があり、当科ではこの聴覚医学的な側面を聴覚STが担っております。

聴覚STの3つの役割

聴覚STの生業としては、研究・教育・臨床の3つを遂行していくことであると先輩に教えていただきました。まず研究面において宮崎大学と当科では主に成人及び小児人工内耳、軽中等度難聴、一側性難聴、人工聴覚器装用下における語音聴取評価について研究を行っております。また他施設との共同研究も並行して行い、毎年行われる学会での発表や論文の投稿などにも力を入れております。その中でも語音聴取評価をはじめとした聴覚評価は患者さんの方針を決める重要な役割を担います。そのため常に海外の情報や先進医療の情報を把握しておき、従来行われている評価や手法などに疑問を抱いてアップデートする必要があります。

 

次に教育面において当科では年間約6名の実習生を受け入れております。実習生に対しては聴覚医学的な根拠に基づいて判断や評価を行った上での結果の解釈はもちろん、考察力を高めることが一番の教育目標です。補聴器や人工内耳装用例の聴覚医学的評価を行い、その必要性や問題の原因に対する考察を通して従来の人工聴覚器に対する常識や選択、手法が最適であるか改めて考え、判断できるよう指導しております。教育する側として学生へは学生自身の考え方をまず理解し、受け入れた上で論理的な説明を行い症例を理解する力と考察を深められるよう心がけたいと思います。

 

最後に臨床面において当科における患者さんに対しての最低目標は聞こえるようにする、聞こえるようになることであり、よりよい聞こえを提供することとしております。そのうえで日常生活上の聞こえにくい環境や状態に対処でき、語音聴取能を高められるようにします。現状では成人及び小児の補聴器・人工内耳装用例に対して自覚的・他覚的な評価を行い、その結果に基づいて調整や方針の決定を行っております。特に小児人工内耳装用例においての補聴・語音聴取評価はSTが行い、その後の言語発達面においては保護者への現段階の説明と目標を明確にして助言を行い保護者が主導となって指導していただく方針としております。聴覚医学的な根拠に基づいた判断が最適にできるよう日々知識を深めていきたいと思います。

座学で培った知識と現場で求められる知識の乖離に頭を悩ませた

学校では座学が中心で3年生の後期、4年生の前期で2回実習を行ないました。
3年時の実習では主に生活期の方を中心に4週間、4年時の実習では回復期の失語症の方を中心に8週間診させてもらいました。
実習を経験して自分に不足していると感じたのは、座学で覚えた知識と臨床で求められる知識に乖離があり、その知識を繋げて考察することでした。知識ひとつひとつがバラバラで、なかなか患者さんにその知識を繋げられないという難しさを感じました。
学校で習う例は典型例が多いのに対して、実習や臨床では得た知識から臨機応変に対応できる柔軟な考え方が求められる合併症を抱える患者さんや、聴力が変動する可能性を持った方が多くいます。そのような方に対しての接し方、アプローチにも頭を悩ませました。

大学院に進んで聴覚についての見識を掘り下げたい

学校を選んだ理由は、4年制課程のため大学院への編入が可能という魅力に惹かれたからです。 現在の職場に入職した理由も、宮崎大学とつながりがあるというところが大きいです。宮崎大学では私の現在の上司が同大学の大学院に進んでいて、私の母校の先輩ということもあり、声をかけていただきました。
聴覚分野においては、もっと深く掘り下げていく部分があると思います。人工聴覚器に対する評価法をはじめとした、人工聴覚器の改善・改良の余地はまだまだあると思います。現在は人工内耳装用者を対象に語音聴取評価についての研究を行っており、学会発表なども経験させていただきました。今後は継続して学会に参加し発表はもちろん、論文の投稿にも力を入れ自分の経験値を得たいと考えております。将来的には大学院に進み興味を持っている分野について研究し知識を深めていきたいと考えています。

患者さんの前進をサポートする言語聴覚士

多くの選択肢が存在する中で選択肢の幅が狭いと色々な可能性を狭めてしまうと思います。私は、患者さん自身が考えて多くの選択肢の中から選んで将来の可能性の幅をより広げられることや、本県における難聴支援の中心として微力ながら尽力していきたいと思います。

ある一日のスケジュール

Schedule
  • 07:00
    出勤
  • 07:30~
    研究カンファ
  • 08:30~
    耳科外来
  • 10:00~
    乳幼児難聴支援外来
  • 11:00~
    成人難聴支援外来
  • 14:00~
    休憩
  • 15:00~
    小児難聴支援外来
  • 17:30~
    難聴支援カンファ
  • 18:00~
    耳鼻科外来カンファ
  • 20:00
    退勤