言語聴覚士インタビュー
コミュニケーションと
食支援のスペシャリスト
という仕事に運命を感じた
源間隆雄
札幌麻生脳神経外科病院
複数協力体制で患者さんをケアする
私は現在、脳血管障害の急性期~回復期の方を中心に診察する中規模病院に勤めています。
非専従の勤務体制のため、入院直後の患者さんから発症半年以内の患者さんを中心に担当しており、失語症、構音障害、摂食嚥下障害ならびに高次脳機能障害の方のリハビリテーションを行っています。
リハビリは、安全かつ速やかに経口摂取ができるように食事姿勢を検討、食形態の調整、さらには口腔機能へのアプローチを、同僚はもちろん、他院と協力して行っています。
たとえば、当院には歯科はないのですが、誤嚥性肺炎のリスクマネジメントとして、往診の歯科医院と複数協力体制を取っており、歯科治療、義歯作成、さらには歯科衛生士による専門的口腔ケアなどを行っています。
患者と家族からの感謝が最大のやりがい
仕事でやりがいを感じるのは、経口摂取が叶って、患者さんとご家族から感謝されたときですね。
以前、胃ろうになってしまって、3年間経口摂取できなかった方の訪問リハビリをしたことがあります。その方の支援を、私をはじめ多職種でした結果、3食経口摂取が可能になったんです。
さらには、胃ろうの管理が不要になり、旅行を楽しんだり、お孫さんの結婚式に参加したりと、それまでは叶えられなかったことが実現できました。
このときは、食支援がもつ可能性の大きさを感じましたね。
常に考え決断することが求められる立場
現在はリハビリテーション科全体の管理業務を行っているため、常に考えて決断することが求められています。
たとえば、2019年末から感染拡大した、COVID-19対策として、リハビリにおけるリスクマネジメントのために、患者さん、スタッフの健康管理はもちろん、感染症に関する啓発活動を行うようにしました。
また、リハビリのなかでも特に飛沫感染のリスクが高い、摂食嚥下障害の方へのケアは、リスク軽減のために、鏡を用いて側方から評価する際にも支障が出ないようにするなど、工夫を重ねました。
苦労することは多くありますが、スタッフや他の職種の仲間が支援してくれているため、毎日業務を進めていけています。
毎日アップデートされる技術や知識を学んだ刺激的な学生時代
20年前に福祉系の大学に通っていて、そのときに言語聴覚士が国家資格になるというニュースを目にしたんです。それを観たとき、コミュニケーションと食支援のスペシャリストという内容に運命を感じて、専門学校に入り直しました。
当時、摂食嚥下障害の分野は、黎明期とも言える時代だったので、毎日アップデートされていく技術や知識を学べたのは刺激的でした。
新人として最初に勤務したのが、日本最北端の地域だったんです。半径180kmに言語聴覚士は誰もいないという状況だったので、相談相手もいません。最初は困惑しましたけど、日々手探りで仕事をするうちに、理学療法士、作業療法士、さらには医師、看護師など多職種の方から高い専門性を学べました。
このときに経験した多職種連携、チームアプローチの重要性はいまでも大切にしています。
痛感したからこそわかる多職種連携の必要性を伝えていく
摂食嚥下障害への対応は、未だに日々、アップデータが繰り返されています。そのため、日々新しい知識、技術を学んでいくことが大切だと思っています。
ただ、コロナ禍のため、研修会や勉強会への参加が難しくなってきており、自分から情報を学び取っていくことを意識していこうと考えています。
また、自分から学んだ情報を還元していくことも継続していきたいですね。
私自身、新人のころに多職種連携の必要性を痛感していて、たとえば、歯科医師、歯科衛生士から学んだ、医科歯科連携の重要性は、安全かつ迅速な食支援には欠かせない事柄です。
そのため、臨床の現場で悩んでいるセラピストや医療福祉従事者に自分が培った知識、多職種連携の大切さを伝えていきたいです。
ある一日のスケジュール
Schedule-
08:10出勤、患者情報確認・リハ科内管理業務
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09:00~病棟医師カンファ出席
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10:00~臨床(入院)
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12:20~昼休憩
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13:20~臨床(入院)
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15:30~カルテ・サマリー記載・事務作業
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16:00~病床運用会議出席
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17:30~リハビリ管理者会議出席
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17:40~事務作業
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18:00退勤
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