【公式】めざせ!ST(言語聴覚士)

言語聴覚士インタビュー

言語聴覚士インタビュー

子どもから高齢者までコミュニケーション障害のバリアフリーを目指して

今村瑞妃 言語リハビリ教室みづき
医療 成人 小児 維持期 就労支援
今村瑞妃

患者さんとご家族のその時のニーズに合った、寄り添った支援ができる言語聴覚士を目指して

私は急性期から生活期の臨床を経験したのち言語リハビリ教室を開業しました。現在1歳から97歳の方を担当しています。
STを志したきっかけは、以前知的障害者の方が生活する施設でお仕事をしていたことです。
当時の私は無資格の一般職員として、成人の自閉症や知的障害、ダウン症などの方たちのケアをしていました。
その中に、自閉症で言葉が出ない方がいらっしゃいました。
その時私は「この方は話せないのだからきっと何もわからないだろう」と思い、コミュニケーション方法を見いだせずに困っていました。
しかし、一緒に作業を進める中でその方は理解力はあり、言葉を出すことができないだけだということがわかりました。
自分の思い込みにとらわれず、もっと早くわかってあげれば良かったと後悔したことが、今も強く心に残っています。
その経験から言語のリハビリを重ねて、少しでも何か言葉が出ればご本人のストレスが軽減されるのではないか、仕事や私生活の充実が図れるのではないかと考えていた時に、本屋さんで「言語聴覚士」という資格を知ってSTを目指しました。

学校や施設でのコミュニケーションが円滑に行われるよう支援する

担当しているお子さまは、言語発達遅滞・自閉症スペクトラム症・吃音・機能性構音障がい・学習障がい・注意欠如多動性障がいなど障がいの種類や重症度は様々ですが、一人ひとりのお子様の状態に合わせてコツコツと楽しく進めていけるような課題を心掛けています。
また、ご家族の協力が得られれば自宅学習もお願いしています。
成人では、失語症・記憶障害・注意障害などの高次脳機能障害、構音障害などの方がいらっしゃいますが、機能訓練と共にご家庭や施設でのコミュニケーションが円滑に行えるよう支援させていただいています。

就労支援は障害に対する理解者を増やし、一人でも多くの味方を作る

失語症など高次脳機能障害の方の就労支援の課題は、まずは障害に対する理解者を得ることと一人でも多く味方を作ることだと思います。
誰でも生活する上でストレスはあると思いますが、仕事では同僚に話を聞いてもらったり、上司の方に相談したりするなどの方法で解決しているでしょう。
そのため高次脳機能障害などの後遺症をお持ちの場合は、近くに理解者を配置し多くの方に自分のことを知ってもらうことが重要だと思います。そこで私が最初にできることは、患者さんの情報を正確に伝えることだと思います。
障害を持つ方が入院前の会社に復職する場合は、その会社の方に対して障害に対する説明を行うようにしています。
どのような仕事が適切かなどを相談し、配置換えを検討していただくケースもあります。
また、障害を持つ方が職場内で理解者を得られやすいようご本人ができることや、コミュニケーション方法などについて具体的にお伝えしています。
さらに、就労系障害福祉サービスを利用する場合には、作業内容について片麻痺や失調があってもできる作業か、単調すぎて集中しづらい業務かどうかなど工程や勤務時間、休憩時間などを具体的に質問するようにしています。

一人ひとりに合わせたリハビリを提案していく

患者さんのことで悩むことはたくさんあります。
このアプローチで良いのか、他に良い方法はないかなどいつも考えています。
患者さんは障害の種類・重症度・ご家族の状況・生活環境・性格やリハビリの意欲など様々な違いがありますので、一人ひとりに合わせたリハビリを提案することが大切だと思います。またその活動を続けていくことで、臨床経験が積み重なり一歩一歩言語聴覚士として成長する自信にも繋がっていくと考えています。

家族の大切さ、障害を理解し助け合うことの大切さに触れる

印象に残っているエピソードは、40代で脳出血により失語症を発症した父親の方です。
失語症は重度で理解も表出も難しい状態でしたが、小学生のお子様に「お父さんはこんな簡単な計算もできなくなってしまった、言葉が出なくなった」という内容を一生懸命説明していました。
奥様とお子様が何度もお見舞いに来てくれて、家族全員でリハビリに取り組んでいらっしゃる様子を見た時に、家族の大切さや障害を理解して助け合うことの大切さを教わりました。

リハビリを通じて効果を実感していただいた時はすごく嬉しい

STとして働いている中で、充実感がある場面は数多くあります。
例えば、担当しているお子さんの母親から「ここに通い始めてから、できることが増えています」と言っていただくことがあります。
また、大人の患者さんご本人から「前より随分良くなりました」と仰っていただくこともあります。
やはり、リハビリを通じて効果を実感していただいた時は、すごく嬉しいので、また頑張ろうと思えます。言語聴覚士の仕事は、患者さんの困っていることを聞いて寄り添い、言語聴覚療法という手段を用いて少しでもお役にたてるよう色々な方法を考える方が向いているのではないでしょうか。私は高次脳機能障害が残存する方のリハビリを10年以上担当させていただいておりますが、長期に関わることで言語機能だけでなくご家族の状況や生活環境などニーズの変化を知ることができています。
また小さなお子様ならば、幼稚園や保育園、小学校から大学、社会人へと成長していきますが、何かあった場合にはいつでも気軽に相談できるSTでありたいと思っています。
コミュニケーション障害があるのは自分ひとりだけでなく、年齢を問わず色々な人が困っていることがあるんだ、ということを知ってもらいたいという思いから「子どもから高齢者までコミュニケーション障害のバリアフリー」を目指しています。

ある一日のスケジュール

Schedule
  • 08:30
    出勤

    掃除、レジ準備等
    電話・メール等チェック

  • 09:00~
    3歳 言語発達遅滞のお子さまの言語訓練
  • 10:00~
    3歳 言語発達遅滞のお子さまの言語訓練
  • 10:30~
    5歳 お子さまの吃音指導
  • 11:00~
    2歳 言語発達遅滞のお子さまの言語検査
  • 12:00~
    お昼休憩
  • 13:00~
    83歳 UUMN Dysarthriaの方の構音訓練
  • 14:10~
    39歳 失調性Dysarthriaの方の構音訓練
  • 15:00~
    74歳 失語症の方の初回無料相談
  • 16:00~
    5歳 機能性構音障がいのお子さまの言語訓練
  • 16:30~
    7歳 学習障がいのお子さまの言語訓練
  • 17:00~
    次の日のカルテ準備・日計表記入・レジ締め
  • 17:30
    帰宅