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言語聴覚士インタビュー

言語聴覚士インタビュー

達成感や成長を、関わるすべての人と共有できるようにするお手伝い

平原 孝洋 ことばの教室そらまめキッズ
保健・福祉 小児
平原 孝洋

ふと手に取った書籍から言語聴覚士の世界へ

私は現在、障害児通所支援事業に携わっています。これは主に児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援という福祉の事業で、保育園や幼稚園、小学校、中学校、高校で困っているお子さんに対して直接支援したり、生徒さんと接する先生たちのサポートである間接的支援をしたりしています。

言語聴覚士を目指したきっかけは、進路に悩んでいた時にふと手に取った書籍です。昔から小さい子の面倒をみるのが好きだったこともあり、漠然と子どもに関わる仕事をしたいと思っていました。そんな時に出会ったその書籍では言語聴覚士が紹介されており、そうした職業があることを知りました。保育士の道も考えていましたが、より子どもに近い距離で接することが出来るのは、言語聴覚士だと感じ、今の仕事に就いています。実際に働いてみて、関わる子どもたちの成長を間近で感じられるおもしろい仕事だと日々実感しています。

今よりも、ちょっと毎日が楽しくなるようなお手伝い

仕事で接するお子さんは小・中・高校生が特に多く、読み書きやお話が苦手な子のサポートをする機会が多いです。お家ではうまく話せるのに学校でお友達や先生の前ではうまく話せない、暴言や暴力が出てしまうなど、お子さんによってさまざまな悩みがあります。1人ひとりの悩みや性格、特徴を見ながら「こうしてみたら、今よりちょっと楽しく生活できるよ」という支援を直接行ったり、先生たちと共有したりする機会が多いです。

海を越えて広がる、言語聴覚士の輪

日本での活動のほか、25歳の時に2年ほど海外青年協力隊としてソロモン諸島に行ったことがあります。当時はまだソロモン諸島に言語聴覚士という仕事はありませんでした。しかし、本務のかたわらでさまざまなメディアに声をかけ、取材を通してこの仕事を認知してもらおうと活動しました。その結果多くの学生さんが見学に来てくれて、一人の学生さんが奨学金制度を使って留学するところまでをサポートさせてもらいました。こうした経験から、今も日々仕事するだけでなく、この仕事を世間に広めていくことも私たちの重要な役割だと考えています。

みんなで成長していく過程を共有できる仕事

子どもと向き合うことがメインではありますが、保護者の方ともお話をする中で子どもの悩みはもちろんのこと、保護者自身の悩みを伺うこともあります。私たちの仕事は、子どもだけではなくその子を支える人たちにも寄り添い、苦手なことがあるということをネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに考えてもらえるようにすることです。

そのためには、私たちスタッフが協力して、時には学校の先生を巻き込むこともあります。周りを巻き込んでみんなで悩みに向き合うからこそ、自分ひとりでは解決できないこともクリアできるので、達成感を共有できるのです。これが、この仕事ならではの醍醐味だと思います。

私たちが想像するよりはるかに成長した子どもたちの姿を見ることも 

過去に、小学校高学年の時から長きにわたって関わったお子さんがいました。その子には吃音があり言葉がうまく発せられず、みんなの前で音読することやお友達とお話しすることが苦手だったため悩んでいました。そこで、私も一緒に向き合いました。その後、その子が高校生になると、接客のアルバイトをしたいという目標ができました。当初は、私自身も「うまくできるのか?嫌な思いをしないか?」と心配したことを覚えています。

吃音は、大きくなったら治りにくい疾患のひとつといわれています。そのため、治すというよりも吃音がどういうものなのかを理解して、向き合っていくことをサポートします。彼の場合は、アルバイトを始めるにあたって、一緒に電話対応を想定した練習をして、さまざまな場面で周りからも合理的な配慮をしてもらう手段があることをアドバイスしました。
気になってアルバイトをしているお店にお客さんとして行くと、とても生き生きと仕事をしていたのでとても驚きました。

その数年後に当時の話を聞くと、「小学校から支えてもらって苦手なことにも挑戦できたから、今の自分がある」といううれしい言葉を聞くことができました。今もその方は吃音に向き合い、うまく付き合いながら社会に出て活躍しています。

苦手を乗り越えた先の未来も考えて、サポートを続ける

私たちの仕事には、「言葉に関する苦手を克服して、コミュニケーションが取れるようにする」以外にも役割があると思っています。そのため、苦手を克服したその先にその子が何を求めているのかまでくみ取ることを心掛けています。

例えば、「コミュニケーションをうまく取れるようになったら、お友達と一緒に何かを達成する喜びを共有したい」といった具体的な思いまでもきちんと聞き出すなどですね。深掘りしていくためには本人から話を聞くだけでなく、ご家族からも悩みや何ができるようになったらうれしいのかを伺うようにしています。本人も家族も表面上の言葉は違っていても、本質は同じことを願っていることが多いです。そこに気づいてもらうことも、私たちの役割かもしれません。

このようにただ苦手を克服していくだけでなく、克服した先で得られる達成感を味わったり、家族や周りの人との絆を深めていったりしてもらいたいです。

いろいろな人が関わりあって共存していく世界を目指して

この仕事は、子どもたち自身だけではなく、そのご家族や関わるすべての人と喜びや達成感を共有できる仕事だと思っています。人の数だけ悩みがあり、それに丁寧に向き合うことは難しいことです。しかし、一緒に解決していくことで、その子の毎日がちょっとでも楽しくなるお手伝いができるというのはとてもすばらしいことです。

今は子どもたちやそのご家族とお会いして支援をしていくことが多いのですが、いつかその子どもたちが自立して生きていくためのサポートもしてみたいです。そのサポートだけでなく、悩みや苦手を抱えた人たちが伸び伸びと暮らせる街づくりもできたらさらに素敵な世界が広がると思うので、将来はそんな事業もしていきたいですね。

ある一日のスケジュール

Schedule
  • 08:45
    出社
  • 09:00~
    保育所等訪問支援

    学校や保育園、幼稚園の巡回

  • 12:15~
    昼休み
  • 13:00~
    保護者説明・報告、支援会議、個別支援計画の作成
  • 16:00
    帰宅