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言語聴覚士インタビュー

言語聴覚士インタビュー

指導者ではなく伴走者として、対話を大切にした最大限のサポートを

福永晴香 (株)SLC ことばと発達の相談室
保健・福祉 小児
福永晴香

専門性に偏らず心地よい場所を提供したい

現在、株式会社SLC ことばと発達の相談室代表取締役として、ことばや発達に困り感のあるお子さまをサポートする施設を運営しています。また、私自身も言語聴覚士として日々現場に立ち、お子さまとトレーニングしたりご家族の声に耳を傾けたりしています。ほかにも地域の健診業務や連携先への訪問、スタッフの育成などが主な仕事です。もともとは理学療法士になって、リハビリの仕事をしようと考えていました。当時、言語聴覚士はまだ国家資格ではなく、あまり認知されていなかったのです。ただ、逆にその希少さに魅力を感じたのがこの仕事を選ぶきっかけとなりました。

ことばと発達の相談室は、福岡県内の柳川市と筑後市に施設があります。スタッフ10人中8人が言語聴覚士という専門家チームですが、スタッフには常日頃から専門的な視点に偏らないようにと言っています。ご家族の視点を大切にし、何を必要としているかを考えて、お子さまにもご家族にも心地よい場所を提供することを目指しています。

人との繋がりを大切にしながら寄り添ってゆく

ことばと発達の相談室では、お子さまやそのご家族に個別のサポートを提供しています。個別といっても、個室での支援だけにはこだわりません。間仕切りのないオープンな空間でも、視覚や構造的な工夫をして支援をしています。目標は、お子さまがリラックスして課題やコミュニケーションに集中できること。内容は、対人関係の基盤となるスキルや世の中を理解するための認知能力、姿勢や運動能力などを向上させるアプローチです。また、お子さまの成長段階に応じて言語面や発音などの課題に取り組んでいます。

ことばを育むために大切なのは、お子さまがいろいろな人との交流を楽しみ、もっと関わりたいと思う気持ちや意欲を育てていくことだと考えます。それとともに、子育てに悩むお母さまやご家族の方々に寄り添って一緒にお子さまの成長を見守り、その支えになりたいと思っています。ご家族との信頼関係を築くために、とにかく丁寧な説明を心がけています。言語聴覚士はコミュニケーションの専門家です。お子さまとご家族を真ん中にして、ライフステージに関わるあらゆる機関、医療や福祉・保育園・就業などの方々と真摯に関わり人との繋がりを大切にしながら、支援の輪を広げていけたらと思っています。

晴れの日も雨の日もサポートの扉は全開に

私たちは伴走者であり、指導者ではありません。この施設に長くいらっしゃるお子さまやご家族は、日々のことなどをたくさんお話ししてくださいます。それでも気持ちが沈んでしまう日もありますし、話したい日や話したくない日、いろいろ出てきます。どんな時も無理強いはせず、サポートの扉だけはいつも開いて待つようにしています。

多様性の時代ですから、さまざまな方がいらっしゃいます。症状の違いや重さ、要因の差だけでなく、抱えているバックボーンや取り巻く環境も違います。さらにお住まいの地域や周囲の人の考え方も、大きく影響してきます。私たちはご提案や選択を繰り返しながら、お子さまの成長のベストな道を目指していますが、前進しているようで振り出しに戻ることも多々あります。専門性だけが先走ってお子さまやご家族の気持ちを置いてけぼりにしないよう、対話を大切にしながら最大限のサポートを心がけています。

生きていく力、伸びていく力を感じることが仕事の原動力

まだ、新米言語聴覚士として病院で働いていた頃、あるお年寄りの患者さんが退院後ご自宅に招待してくださいました。入院中は弱々しいご様子でしたが、ご自宅では一家の主人として生き生きと迎えてくださいました。後遺症があっても尊厳を保ちながら生きていく姿に心打たれ、その方の人生に関われた幸せを感じました。

教師時代は学生を指導しながら彼らの未来を考え、今は未熟で不安定でも必ず誰かの役に立つ大人に成長すると信じて、充実した日々を過ごしました。現在も、お子さま一人ひとりの将来を想像し、その成長をご家族とともに喜びながら楽しく仕事をしています。人の生きる力、伸びていく力を感じることが、私の仕事の原動力です。それらの経験のひとつひとつは私の中で生き続け、言語聴覚士になって良かったという揺るがぬ思いを日々新たにさせてくれています。

生まれた場所で支援に差がある現状を改善したい

これまで鹿児島市、柳川市、筑後市で、児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援などの通所支援事業所を4ヶ所開設してきました。お子さまの成長のつまずきに対する早期発見、早期支援の仕組みや内容は、生まれた場所によって明確な差があります。私たちは、「地域ごとの支援の違いやその質・量を改善したい」という思いに賛同してくださる方々の支えがあって、ここまでやってくることができました。今後も地域の啓発活動を積極的に行いながら、言語聴覚士の専門知識を活かし、組織一丸となってお子さまやご家族のサポートに邁進(まいしん)していきます。

ある一日のスケジュール

Schedule
  • 08:30
    出勤

    1日のスケジュール確認

  • 09:00~
    保育所等訪問 など

    保育園や学校等の巡回

  • 12:00~
    休憩
  • 13:00~
    会議や管理業務

    教材制作会議、個別支援計画の作成、会社業務

  • 15:00~
    個別療育

    お子さまとの言語訓練

  • 17:30
    退勤