【公式】めざせ!ST(言語聴覚士)

言語聴覚士インタビュー

言語聴覚士インタビュー

変化していくニーズに
対応できる言語聴覚士を目指す

橋本 淳 社会医療法人謙仁会 山元記念病院
医療 成人 小児 病院リハ COVID-19対策
橋本 淳

言語聴覚士としての対象者

私は現在、成人と小児の患者さんを対象としています。成人の患者さんの場合、入院と外来に分かれており、入院であれば多くが嚥下障害の方で、外来は失語症、進行性の神経難病の方が中心です。
小児の患者さんの場合は、主に言葉の遅れや発音が未熟なお子さんを対象としています。
当院の理念として、「地域住民に密着した病院として地域医療の向上と予防医療・福祉に貢献する」とあります。この理念をもとに、日々臨床業務を行っています。

失語症の方がこれまで参加していた会合でのスピーチができるまでに回復。やりがいを感じるのはいままでどおりの生活を送る姿を見たとき

言語聴覚士としてやりがいを感じるのは、病気の影響で口から食事がとれなくなった方、栄養状態が悪化した方などが、お口のケアや機能改善・栄養改善・身体活動の向上などから、食事を口から食べられるようになって、ご自宅だったり元にいた施設に安心して帰られる姿を見ると非常に嬉しく思います。言語聴覚士一人の力だけでなく、医師や多職種のスタッフと目標を共有して、いかに患者様と信頼関係を築き目標の達成に近づけるかに責任は感じますがそれ以上のやりがいを感じます。
他には、失語症の方であればこれまで参加していた会合でのスピーチをしたいという目標に対して、決してスムーズに話せたわけではないかもしれませんが、その目標を達成するための手段や考え方なども訓練では重視してきました。結果として、スピーチが終わった後の社会参加へも自信が持てたと聞いています。

現場を見ることで座学の疑問点が解消された。言語聴覚士を目指したのはコミュニケーションに関わる仕事に就きたくて

私は高校を卒業する際に漠然と「人と関わる仕事がしたい」と考えていました。そこでコミュニケーションを専門とする仕事はないかと調べていたときに、両親から「リハビリがこれからの世の中で必要とされる仕事じゃないか?」という助言をしてくれて、コミュニケーション、リハビリどちらにも関わる言語聴覚士という仕事を志しました。

言語聴覚士になるために専門学校へ進学したのですが、座学だけでは分からないところも多々ありました。そんな不明点も、実習で現場に触れ、指導者が本気でぶつかってくれることで、自分自身を見つめることが出来、この仕事の魅力を教えていただきました。実習期間中の教えが今でも私の宝だと思っていて、指導いただいた方との出会いに感謝をしています。

現在は実習生を受け入れる立場ですが、学校の先生から「実習に行って、勉強の仕方とか取り組み方、学生が変わった」という声をいただきました。実習では、緊張や不安で押しつぶされそうな気持ちになるかと思いますが、現場を見て、悩み、考え、指導者と検討会を行うことで、知識だけではなく言語聴覚士の魅力に触れることが、自身の今後のビジョンをイメージし勉学に結びつけることができるのかと思います。

COVID-19対策としてビデオ通話や撮影を活用

COVID-19蔓延によって、カンファレンスが大きく変化しました。これまではご家族やケアマネージャー、施設の方から直接現場を見てもらって意見交換を行うことを行っていました。しかし、COVID-19対策としての面会制限・禁止によって、情報交換は直接現場で確認してもらうことが困難となり、オンラインや映像を通して行われるようになりました。患者さんが食事している様子をビデオで撮影して、状況をお伝えするなどこれまでになかったツールを活用して少しでもご家族・関係者の方から患者さんの情報を得て、楽しくリハビリができるように心がけています。

他職種と密なコミュニケーションを取り患者さんに寄り添ったケアを実践したい

今後の日本は、少子高齢化問題、認知症患者さんの増加が予測されます。そのせいか自分が言語聴覚士1年目だったときよりも、ニーズが変化してきているなと感じています。そして、このニーズに見合ったコミュニケーションや食事支援をしていこうというのが目標です。また、認知症の発症を予防するような取り組みも今後は挑戦していきたいですね。

ここ数年、新人教育プログラムの一環として佐賀県の言語聴覚士の方に「日本言語聴覚士協会の職種間連携」という講座をお話しする機会があり、医療職は専門集団の集まるチームということで、いかに多職種のスタッフとコミュニケーションを取っていくかということに関しての重要性を伝えています。 新人の方に伝えていくうちに再認識したのが、自身のスキルアップのためには、もっとコミュニケーション能力を磨かないといけないなぁということです。患者本人、家族、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、介護士、リハビリ助手、管理栄養士、医療ソーシャルワーカー、放射線技師、臨床心理士、臨床検査技師、医療事務、地域の関係者ら多くの方とチームとなり綿密なコミュニケーションを心がけて、患者さんに寄り添ったケアをしたいと思います。

ある一日のスケジュール

Schedule
  • 08:25
    リハビリ室朝礼

    新患・退院情報の共有 リハビリ室内での事務連絡の共有

  • 08:30~
    ST内 ミーティング

    本日の介入者の確認や必要物品の確認、休みのスタッフの申し送りの確認

  • 08:50~
    入院病棟合同朝礼

    病棟からの患者情報、リハビリ新患の情報の伝達

  • 09:00~
    入院・外来個別リハビリ

    言語リハビリ、嚥下リハビリ

  • 12:00~
    食事場面に介入

    食事訓練や病棟スタッフとの情報交換や助言

  • 13:00~
    休憩
  • 14:00~
    入院・外来個別リハビリ

    言語リハビリ、嚥下リハビリ

  • 16:50~
    カルテ記載
  • 17:20
    翌日のスケジュール調整

    翌日にスムーズな稼働が行えるようにST内全体のスケジュールの管理や調整