めざせ!ST(言語聴覚士)話す、聞く、食べるのスペシャリスト

言語聴覚士インタビュー

言語聴覚士インタビュー

地域に密着した訪問言語聴覚療法と、災害支援に奮闘
専門性を磨きつつ、人材育成に携わる言語聴覚士を目指す

山本恵仙 熊本託麻台リハビリテーション病院 臨床研究センター
医療 介護 保険・福祉 成人 維持期 災害支援
山本恵仙

訪問診療の補助や訪問言語聴覚療法、災害発生時は対策本部に入って人材や活動予定の調整を行う

私は現在、言語聴覚士として訪問診療の補助や訪問言語聴覚療法などを行っています。
基本は医師の訪問診療に同行し、言語聴覚士が必要な人に対応しながら訪問言語聴覚療法に繋ぐのが仕事です。
訪問言語聴覚療法は日に多くて4~5件ほど入っています。
一方、大規模な災害が発生したときは現地の災害対策本部に派遣され、現場に指示を出す役割を担うこともあります。
平成28年4月の熊本地震では45日間の活動を行い、副本部長として支援者の派遣場所を決めたり、全国から来る支援者の方々のマッチングを行ったり、宿泊の手配や活動予定の調整などを実施していました。
大規模災害が発生したときは、日本医師会のJMATに登録された医者や、理学療法士、作業療法士がチームで入ってくるので、日程調整を行い、現場で支援の手が途切れないように調整するのも私の仕事でした。

成功体験や利用者からの感謝の言葉にやりがいを感じる

最近では、要介護5で、在宅で寝たきりの生活を送っている方のご家族から、お花見に行きたいという要望を受けたんです。
そのときは、主治医やケアマネージャーに連絡したり、交通の手配を行ったりと、私を含むチームで動いた結果、リクライニング式の車いすで熊本城までお花見に行くことができました。
寝たきり状態の要介護5の方でも外出できるという、ひとつの成功事例になり、大きな達成感を味わいましたね。
また、回復期病棟の場合は1日3時間のリハビリを行えますが、在宅ケアの場合はリハビリ時間が週1回40分しかありません。
短時間のリハビリで自宅や施設での生活をサポートするのはなかなか難しいのですが、利用される方から「楽しみにしている」という言葉をいただけるのは嬉しいし、やりがいにつながります。

県外支援に行くときは、信頼関係を築くことや、現地の負担にならないことを心がけている

熊本地震の時は支援を受ける側でしたが、西日本豪雨災害や台風19号、人吉豪雨災害の際は支援に行く側でした。
岡山県はまったく土地勘がないので戸惑うことも多かったのですが、だからと言って地元の方に頼り切りになるとかえって迷惑がかかってしまいます。
地元の方と信頼関係を築きつつ、基本的に自分で何とかすることを心がけていますが、その面で苦労することはありますね。
また、災害支援では言語聴覚士が単独で動くことは基本的になく、施設単位やチーム単位で活動します。
さまざまな支援団体が現地入りするので、一枚岩で行かないのも難しいところです。
たとえばチームごとにセラピストがいると、それぞれやり方や方針などに違いがあります。
そういう面をうまくすり合わせて、円滑に業務を進めることが大切だと思っています。

言語聴覚士は話をまとめたり、采配を振ったりするのに長けた人材

言語聴覚士は言語コミュニケーションが専門なので、話をまとめるのが得意です。
他の職種の方に比べて、情報収集し、記録するという作業に特化していると思います。
また、災害対策本部などで采配を行ったり、運営面に携わったりする場面でも、言語聴覚士は優秀な能力を発揮します。
西日本豪雨災害のときは、災害対策本部に全国から派遣された言語聴覚士が4名入ったことがありました。
当然、お互い初対面なのですが、上手に役割分担できていて、采配の方針も合致していました。
普段から、言葉の選び方や意思疎通の仕方などの諸事に長けているので、コミュニケーションの取り方が上手く、円滑に業務を進めていけたのだと思います。

人材不足が大きな課題 人材育成や教育に力を入れ、いざという時に動ける人材を確保したい

現時点で、言語聴覚士として災害時に動ける人材が少ないところが大きな課題だと思っています。
日本言語聴覚士協会に所属する言語聴覚士は2万人程度で、理学療法士や作業療法士の1/3~1/4くらいしかいません。
今後は人材育成や、人材派遣の教育に力を入れる必要があると思います。
私が所属する病院では、災害対策係を設置していて、共に勉強できる環境を整えています。
日本言語聴覚士協会でも教育体制の整備を始めていて、各都道府県士会医師会向けに講義を行うシステムを来年から始動指導する予定とのことです。
私自身、日本言語聴覚士協会災害対策副部長として、人材育成や人材教育に関わっている立場です。
現在よりも人材育成が進めば、普段の業務ではもちろん、災害支援でも大きな強みになると思っています。

コロナ禍も踏まえ、災害支援対策を進化させていきたい

私はもともと嚥下障害を専門としているのですが、最近は災害対策本部運用などの仕事に携わることが多いせいか、マネジメントや災害関連について勉強する機会が増えました。
そのぶん、本来の専門である嚥下障害について学ぶ機会が減ってしまったので、もっと学習の時間を増やして、両立を目指していきたいですね。
理想としては、嚥下障害という専門性を活かしつつ、地域で活躍できる人材を目指したいです。
また、近年はコロナ禍の影響で、災害支援の在り方も変化してきました。
2000年7月に発生した人吉豪雨災害がコロナ禍で初めての災害支援活動だったのですが、コロナの影響で物品が足りず、手作りでガウンを用意しました。
そういう苦労をしなくても良いように、今後はコロナも含めたマニュアルを作成し、然るべき対策を講じていく必要があると思っています。
感染対策についても、コロナ禍前から衛生対策などは行っていましたが、人吉豪雨災害では他県から派遣された言語聴覚士がコロナに感染したケースがありました。
事前にコロナ保険に加入するなど、コロナ対策を進化させていくことが大切ではないでしょうか。

ある一日のスケジュール

Schedule
  • 08:30
    朝ミーティング(現在はWEBにて)

    1日のスケジュールを確認します。

  • 08:45~
    訪問言語聴覚療法へ出発

    2~3名に対して訪問言語聴覚療法を提供します。

  • 12:00~
    昼休み
  • 13:30~
    訪問診療

    3~6施設訪問し20名ほど診察を行います。

  • 17:00~
    書類業務

    カルテや必要な書類等を記載します。

  • 17:15
    業務終了